振り返ると二人の男子生徒がいた。

「お〜!かわいー♡」

「うゎっ!やっぱりな!な!」

ギャーギャーうるさい。

そりゃそうだ。
金持ちのお嬢がメイクを怠るわけがない。

両親にいろんなパーティーに連れられるたび、スッピンに見せるのが大事なの!と、言われ続けてきた。

私は顔が青白いので濃い目にチークを入れ、リップは自然な赤でほぼスッピンに見えるのだ。
まつ毛はクリアマスカラのみ。

まだ騒いでいる奴らを置いて先に行こうとすると…

「ま、待ってよ!名前教えて!名前!」

金髪眼鏡が言った。金髪に眼鏡ってどうなの。

鬱陶しい、騒々しい、馬鹿馬鹿しい。

でも、桜座女学園の生徒なので殴るわけにはいかない。

「すみませんが、個人情報ですので。」

そう言い残し、進もうとするが…。

「わぁ!声も可愛いんだね!」

今度は茶髪ホストが突っかかってきた。