外に出ると、清々しい春の香りに包まれた。

桜の花びらが絨毯が薄汚れたアスファルトを隠しているようだ。

住宅街を抜け、通りにでると既に近くの彩菜(さいな)高校の生徒が歩いていた。

彩菜高校とは、ただのアホの集まりだ。

でも、やらイケメンやら美女だのと騒がれているようだ。

彩菜高校が桜座女学園の逆方向に建っているのが不幸中の幸いというものだ。

私は家と学園が近いので徒歩通学だが、都内でも有名なこの学園は車通学の生徒が多いので、すれ違うことはまずない。

と、後ろから肩を叩かれた。

「ねぇ、君」

「はい?」

私は振り返りながら言った。