恋が、生まれました。*短篇集*

「(アホかよ、好き過ぎてこっちは困ってんの!!)」




ちょっと乱暴に花音に手話で伝え、返す言葉に辿りつかないほどに、その可愛らしい唇を奪う。





色々なセリフを並べても、いくら好きと言っても、伝わらないのか・・・・・?






-------『好き』だ。『愛してる』。『お前だけ』。




何回、キスしたならわかってくれる?




唇を合わせて言葉では伝わらないキモチをキミに伝えたい。


俺のキスを受け止めてくれるけど、どこかヒンヤリとした唇。花音は、そっと唇を離し大きな瞳で俺を見た。


この瞳には叶わないんだ・・・・・。






「(ホント?ホントにホント?)」





「(ってゆうか、普通ってなんだ?花音は花音で、俺は俺で、ふたりは恋人でいーじゃんか!!)」



普通の人・・・・・ってなんだよ。花音は今のままが花音じゃダメなのかよ。



「(私、もっと強くなりたい。もっと自信が持てるようになりたいの!)」




「(十分強くなった。花音は中学のままの弱い女の子なのか?違うと思う。みんなが違うって言うよ。頑張って自分と向きあって来たの・・・・俺が一番近くで見てるじゃん。)」



ゆっくりと花音と向きあって、今も向きあうんだ。




花音は、思い出したかのように微笑んだ。



「(『どうせ』なんて言っていたら始まらない。恋も、何もかも・・・・・私は私で前に進むの・・・だよね?)」



俺は、笑い出して花音にまたキスをして、抱きしめまくった。



この言葉は、俺の義理姉ちゃんが花音に言ってくれた言葉だ。俺も花音も、


もう、『どうせ』なんて思わないぐらい思えるよ。