花音と俺の会話は手話を使う。



俺はそれをイヤだとも、面倒くさいとも思ったことなんて一度もない。指先から指先へと続く言葉、一つ一つが愛おしいのだ。





「っなんなんだよっっ!」



・・・・・俺はこんなにも好きなんだよ?




玄関を開けようとした花音がこちらを向いた。




「・・・・・・(ごめんね。)」





ごめんね・・・・ってなんだよ!?ちゃんと言ってくれなきゃ分かんねぇよ。






----------花音からドアノブを触らせないように、玄関のドアと花音の間にドンっと手を付いた。





そして、花音の顔を覗き込む。




「なんて顔してんの?」




今にも泣き出しそうな表情をし、俺を見ようともしない花音のアゴを思いっきりクイッと持ち上げた。





花音はゆっくりと話出す。




「(もう、私とは付き合いきれない?普通の人が良くなっちゃった?私の事、もう好きじゃない?)」





そんな、泣きそうな顔すんな・・・・・・