恋が、生まれました。*短篇集*

音楽が聞こえてくる。

‥‥‥‥ギターの音色。透き通るきれいな鮮明な音だった。


あぁ‥‥‥俺は、ずっとこの時を待っていたんだ。


きみの為にと始めたギター。そのギターを今度はきみが弾いている。


「‥‥‥‥ひなた。」



たくさんの人に歌を届けている女の子。あんなに、ショートカットが好きな彼女は、胸当たりまで髪が伸びている。


きれいな歌声‥‥‥


俺は、溢れ出す涙が止まりそうもないほど、本当はいつでも‥‥この時を待っていたんだ。



俺は、持っていたギターケースから、ギターを取り出し、愛しい人のもとへ歩みのまま、歩いてゆく。


「響、しっかりしなさい!響からギターを取ったら何が残る?」



今こそ、ちゃんと伝えるよ。


ひなたの演奏していた曲は、俺がひなたに送った歌だ。


俺も一緒に歌っていいか?