向井さんは今まで見たことのない、男の人の顔だった。



「おまえが、一人前のパティシエになるまで待ってやるよ。

だから、自分で道を切り開けよ。その道の出口で俺は、おまえが来るの待ってるからよ。」



そう言いながらドアをパタンと閉めてしまった向井さんをただ見つめる私は、途方にくれていた。



あの人、何言ってんの!?


私に言ったんだよね‥‥‥?




徐々に向井さんの言ってくれたことが、じんわり伝わってくる。



ふと、恋が生まれちゃった?っと思ったけど、それは私の頑張り次第で。



あんなこと言われたら、一人前になるしかないじゃないか!

厳しくて、私のことを想ってくれるぶっきらぼうな人。


そんな人と、恋するかは私次第ってことで‥‥‥‥。









Fin◆◆ ◆