「稀々そんなくらい顔してなした?
今日何かずっと暗い顔してるよ?」
放課後舞が話しかけてきた。
「舞…ねーどーしよ…」
稀々は昨日あった事を話始めた。

昨日悠と悠のの家で遊んでいた時のこと。私達はいつものようにテレビゲームをしていた。すると
ブーブーブー ブーブーブー
悠の携帯がなった。
「稀々ごめん!バイトの先輩から電話来たから待ってて!」
「うん!分かったよ!」
悠はそう言って部屋を出ていった。
私は暇だったため、一人でゲームをしていた。
(遅いなー何かあったのかな?)
いつもなら数分で戻ってくるが、10分くらい経っても戻って来なかった。
20分くらい経ってようやく戻ってきた。
「あ。戻ってきた!お帰りー!遅かったね。何かあったの?」
「別に。ってかお前に関係ねぇだろ!」
怒っていた。だけど、その言い方に腹たち言い返した。
「何その言い方!ただ心配してあげただけじゃん!!」
「は?なんだよ!まじそーゆーのうぜぇんだよ!!」
悠がそう言って殴りかかってきた。何度も。何度も。何度も。
私は頭がパニックになってしまい、逃げる事も抵抗する事もできなかった。
その時は痛みは不思議と感じなく、ただひたすら涙がこぼれ落ちていた。
帰る頃にはボロボロになっていた。腕や足には痣まで出来ていた。

私はフラフラの状態で家までやっとの思いでたどり着いた。親の前では変に思われたくなかったため、いつも通りの自分を演じた。当然涙も堪えていた。
ご飯を食べ、お風呂に入り部屋に行った。すると涙が溢れてくる。今日の事を考えたいけど、頭が混乱して何も考えれない。そのままベッドの上でぼーっとしているうちに寝てしまった。

ピピピピピピ ピピピピピピ
(んーなんの音?あ。目覚ましか…。)
目覚ましを止めて起き上がる。とても体が重い。それに体が痛い。昨日殴られたところが今更痛くなってきたのだ。
コンコンコン
「稀々起きなさい!朝ごはん出来たよ!

お母さんが起こしに来た。
「うん!分かった!」
一応返事はしたけど体が重くてとても、動く気になれなかった。
しばらくぼーっとしてると、またお母さんが来た。
「あんた何やってんの!早くしないと学校遅れるよ!」
(あ。今日学校あるんだ。行きたくないなぁ…。でも、休んだら舞に心配かけちゃうから行かなきゃな…。)
「わかった。今行く。」

私は着替えを済ませ朝ごはんを食べにリビングへ行った。リビングではテレビでニュースがやっていて、それをお母さんが見ていた。
『次のニュースです。昨日午後9時頃、○○県○○市で24歳女性が殺害されました。死因は撲殺で、DVを受けていたそうです。』
それを聞き私は動きが止まった。
(…え。もしかして昨日のってDV?
…まさか。違うよね。うん。きっと大丈夫だよね…。)
私はそれからご飯も喉を通らず、お茶だけ飲んで学校へ向かった。

学校につくと既に舞が居た。
「稀々おはよー!!」
「舞おはよー!!」
私は舞に心配させないようにいうも通りに、明るく振舞った。でも、なかなか上手く笑えず昼休みは保健室でずっと寝ていた。

キーンコーンカーンコーン

(もう授業始まっちゃうな。でも、あと2時間だし頑張ろ…。)
稀々はそう思いベッドから起き上がった。その時
「稀々大丈夫ー?」
舞が心配して来てくれた。
「うん!大丈夫だよ!ちょっと寝不足だっただけだから笑」
私はそう言って、舞と一緒に教室へ戻った。
残りの2時間はぼーっとして気づいたら終わっていた。私は帰ろうと立ち上がった時、舞に呼び止められた。
「稀々そんなくらい顔してなした?
今日何かずっと暗い顔してるよ?」
(やっぱ舞には隠せないや)
私はそう思い、全て話す事にした。
「舞…どーしよ…。昨日悠に殴られたの…。」
「え!?それどうゆうこと!?大丈夫??」
「うん。大丈夫。でも、これからどうしていいか分かんないよ…」
「そっか。じゃあ、とりあえずゆっくり話せるとこ行こ?ここじゃ悠君に合っちゃうかも知れないし。」
「うん。」
私達は舞の家の近くのファミレスに行く事にした。
ファミレスに着くと昨日の出来事を舞に全て話した。私は話終えた頃には涙が止まらなくなっていた。

「稀々、それってDVじゃない?」
(あの優しかった悠DVなんてありえない!そんなことするはずないよ…)
「…そ、そんなこと無いよ!!」
私はつい大声を出してしまった。
「稀々落ち着いて!」
私は舞になだめられ、少し落ち着きを取り戻した。
「舞。私ね、本当はDVなんじゃないかって自分でも思ってるの。」
「うん。」
「でもね、認めたくないの。大好きな悠が、優しかった悠が、悠にかぎってそんなこと無い!って思っちゃうの。もう、どうしていいか分かんないよ…。」
「じゃあさ、一緒に確かめてみようよ。どうして殴ったのか!」
「でも、会うの怖いよ…。」
「なら電話しよ!うちが一緒に居るからさ!それでも怖い?」
「んー少し怖いけど頑張ってみる!!このまま泣いてたってどうにもならないし!」
「よし!その調子で頑張れ!!」
そう言って手を握ってくれた。舞の手はとてもあったかくて落ち着いた。
(隣には舞が居るんだし、大丈夫!頑張ろう!)
私は早速悠に電話をかけてみることにした。

プルルルルル プルル
「もしもし。」
悠はすぐに出た。心臓がバクバクしてきて。声が思うように出ない。
「…」
「もしもし?稀々なした?」
「…もしもし悠。あのね…」
「うん。」
やっと出た声はすごく震えていた。それでも、思い切って聞いてみた。
「悠。あのね、昨日の事なん…」
「あ。ごめんこれからバイトだから切るわ!ばいばい!」
プツッ プープープー
「…切られちゃった。」
私は苦笑いしながら舞に言った。

それから舞と色々話、舞は別れた方がいい!って言っていたが、好きと言う気持ちが勝ってしまい、付き合っている事にした。舞は心配そうな顔をしていたが、
「稀々が決めた事だから、文句は言わない!応援するよ!…でも!何かあったらすぐに言ってね!」
と言ってくれた。
私は家に帰ってから悠にLINEでなんで暴力を振るったのか聞いてみた。でも、その話をするたびに流されちゃんと話してくれなかった。
それから悠は少しづつ私を避けるようになった。遊ぶ事も無くなり、LINEもしなくなっていった。
次第に私は冷めはじめていった。

そして暴力を受けてから1ヶ月後、私は悠と別れた。