「困ったな…。明日は俺は出掛けるから家に太郎だけになるだろ?だからお前に見てもらおうと思ってたんだが…」
太郎っつーのは、うちで飼ってる犬のことだ。こんな変な名前を兄ちゃんが付けたせいで外では呼びにくい。太郎とか絶対無理。なんで太郎にしたんだよ…。
「太郎も一人で生きていけるって…。
いや、一匹かな…。」
「無理だろ!もし留守のうちに泥棒が入ってきたらどうするんだよ!」
「いや知らねえし滅多にねえし。
そもそも皆心配性すぎるんだよ。」
そう、うちの家庭はお母さん、お父さん、お兄ちゃん、太郎、私なんだけど、私と太郎以外が恐ろしいほどに心配性。
だから色々と面倒なんだよね…。
それから一時間ほど討論し、太郎を一人で留守番させることになんとかなった。
「太郎すまん……。でも!!一日だけだから許してくれ!」
そんな悲しいなら兄ちゃんが出掛けなかったら良いのにね…。
「ところで兄ちゃん、彼女とでも出掛けるの?」
「は!?彼女いねーけど!?」
そう、うちの兄ちゃんはモテるのに告白を断り続けている。
「いい加減誰かと付き合えば?」
「一つ言わせてもらうが…。
お前も人のこと言えねえぞ!?」
「私は二次元関連しか好きじゃないの!
もし付き合うならねえ!声優さんとかショタとかだけだから!」
「だからお前はそこをどうにかしろよバカ!」
「バカって言ったねバカって!!
良い!?百合にしか興味のない兄ちゃんが私にバカバカ言わないでよ!」
「百合は良いんだよ百合は!お前は異常なんだよ!せめて夜中に叫ぶのは止めろよ!」
そして今日も喧嘩をする。
喧嘩はいつ終わるのかって?
そんなの終わるわけない。