「あ?どうしたんだよ?」

「お、お兄ちゃん、氷雨…。
なんか恐ろしいオーラが漂ってきてる……。」

「あー…。これ、鈴ちゃんが出て来た部屋からだね?」

「き、気のせいだよ?氷雨、変なこと言わないで…。」

「でもよぉ、完璧にお前の出てきたところからだろ。現実逃避はやめろよ、鈴香。しかも氷雨を巻き込むな。」

「黙ってバカにい。ねえ私部屋戻れない絶対殺される」

「大丈夫だよ、結城さんのお兄ちゃんは優しい人だから、きっと妹も……」

氷雨は私と兄ちゃんを見て、何かを言おうとしていたが、やめた。

「氷雨、お前まさかさ、俺らは全然似てないとか言わねえよな…?」

「ん?いや、そんなことは思ってないよ?」

「…氷雨、相変わらず腹黒いよね。」

昔からそうだった。毒舌で、腹黒で、たまにSで。
昔は『二次元から飛び出してきたみたいだよ!』って言ってた。今でも思ってるけどね…。

「………あ、結城さん。久しぶりだね。」

「…どーも、秋月(あきづき)さん。それに、唯香さんも。」

あああああああ結城さますげえ怖い…。
なんだろう、この側に立ってるだけで殺気が感じれるよ…ははは…。

「ねぇ、鈴香。
あんたと唯香さんがいるってことはさ、
太郎くん一人でお留守番してるんでしょ?」

「……………は?」

え、そっち?太郎?太郎なの?
なに、そんなに太郎の留守番が皆嫌なの?うちのお父さんとお母さんと唯香だけじゃなくて結城さんも気になっちゃう系なの?

「本当だ、二人がいるってことは太郎くん一人だね。」

え!?氷雨まで!?
まってツッコミまさか私だけ…?

「やっぱ心配だよな…。
あ、この際四人で家に帰るか?」

「まって唯香まで!?しかももう唯香たちも私たちもカラオケ代払ってるし!勿体無いでしょ!?」

「そんなの太郎の為ならいいじゃん」

結城さん、君5曲ほど歌ったよね?
私マイク持ってもないよ?そりゃあ私が部屋飛び出したり遅刻したのが悪いけどね?

「太郎くんが可哀想だしね。」

氷雨…部屋にも入ってないよね…。
そんなのでいいの…太郎に振り回される休日でいいの…?

「太郎の為に帰ろうぜ!」

「唯香は黙れ」

「俺だけ口に出すのかよ!」

「はぁ…氷雨も結城も言うなら、帰るしかないね…」

「ねぇ、俺はガン無視?お兄ちゃんのことはどうでもいいのか?」

「唯香のことお兄ちゃんなんて思ってないよ!?」

「は!?俺だってなぁ!お前みたいな生意気なやつ妹なんて思ってねぇよ!!」

「あはは、二人とも相変わらずだね。
それに唯香も楽しそうで、結城さんと協力した甲斐があったよ。」

「そうですね、でも秋月さん、それ言っちゃっていいんですか?」

「平気平気。二人とも口喧嘩で騒がしいから聞こえてないよ?
今日は協力してくれてありがと、結城さん。」

「いえ、私は鈴音を釣っただけですから…。
でも、こんなこと思いつくなんて、流石秋月さんというか…。」

「そうかな?まぁ、またよろしくね。」

「はい。」

私と唯香が口喧嘩をしてる間、結城と氷雨は二人で話してた。
うーん、何を話してたんだろ。
多分私には関係ないだろうし、気にしないことにしよう。