そして、約束の日。

「あ、鈴香!」

「よーっす!マイフレンド結城ちゃん!」

「相変わらず遅刻だね。」

「ハッハッハ…。そしてそれを見越してカラオケ屋で集合の結城ちゃんすごいよ。本当。」

私は良く寝坊する。そのせいで学校でギリギリ遅刻になりかけるし、約束事は必ずと言っていいほど遅れる。

「もう5曲くらい歌ったよ?」

「先に歌ってるあたり本当時間を無駄にしないよね、結城。」

結城は初めて会った時もそうだった。
まぁ、その話はまた今度にしよう。

「で、何歌う?鈴香。」

「うーん、そう………って、うわぁ!!」

「え!?ちょっと、大声出したら驚くって…」

「ちょっと待って!今兄ちゃんと氷雨いた!」

ドア越しだけど、確かにあれはお兄ちゃんと氷雨だった。

「あの二人もカラオケ来るんだ…。なんか意外…。って、鈴香!?」

ドアを開ける。

「お兄ちゃん!氷雨!」

一瞬でお兄ちゃんが振り返る。氷雨はというと、ゆっくりとこちらを向く。

「は!?な、なんでお前が…!?」

「兄ちゃんこそ!なんで氷雨と?」

「いや…というか、まさか結城と二人でか?」

「そうだよ?」

「お前なぁ…。危ないだろ!?不審者に会ったらどうするんだ!?」

「そう会わないよ!?お兄ちゃんこそ男二人で個室とか腐女子がいっぱい寄ってくるよ!?全国の腐女子が狙ってくるよ!?」

自分でも訳が分からないことを言っていた。ただ、お兄ちゃんと氷雨が一緒にいてるのを久しぶりに見て、なんだか嬉しかった。学年が違うから、中々二人を見かけることがなかったから。

「まあまあ落ち着こ、二人とも?
久しぶりだね?鈴ちゃん。」

優しく微笑む氷雨。うん、変わってない…。

「氷雨!!久しぶりだね…。ちょっと感動。」

「ふふ、ところで結城さんと来たの?」

「うん。…って、やばい…。」