「よかった............。」
心から安心し、愛おしそうに抱きしめるこの男。
俺は、自分の情けなさにひどくいらだった。
「怖かった......怖かったよ......ううっ......ひっく......ううううっ......」
俺は、そのふたりを黙って隣で見ている他、何をすればいいのかわからなかった。
「あー!蒼井ちゃん!いたー!」
そこへ、小山の声がして、続いて朱木も駆け寄ってきた。
「奏......!!!!!」
朱木の声に気づき、春輝から離れて朱木に飛びつく蒼井。
俺には飛びついてこなかったのに。
「よかった......ねえ、何があったの?誰にやられたの?」
「......わ、わからないの。名前とか......聞いてない。でも、5人くらいの女の子達だった。」
「......最低。女のクズだわ。」
こいつ、可愛い顔して結構怖いこと言うんだな。
