「伊吹!!!頑張れーー!!!もう少し!!!!!頑張れーー!!!」
ゴールを決める直前に、一瞬だけど、伊吹と目が合った。
その時に、安心したようなくしゃっとした笑顔に、私は不覚にもドキッとしてしまった。
ゴールをした伊吹に、一斉に赤組の仲間が駆け寄ってくる。
その波に押しつぶされそうで、私は端っこに出た。
「やった!1位だ!」
さすが伊吹!
「やっほ、奏ちゃん。」
後ろから肩を叩かれ、振り返ると、春輝がいた。
「あ!春輝!春輝も赤組だったの?」
「まあね。もしかして今気づいた?俺は最初から気づいてたけど。」
え、そ、そうなの......?
「あははは......ごめんね。」
ほんと、私周り見てないからなあ......。
「あの人、早かったね。」
春輝が伊吹を見ていった。
「うん!私の友達なの。伊吹っていうんだけど、すっごく頭良くて、かっこよくて、足も早くて、すごいよね!」
私の言葉に少し驚いたような顔をする春輝。
でもすぐににこっと笑って
「すごいね。」
と言ってくれた。
