「本気で言ってるんですか?」

「うん本気」


彼の悪戯心が宿った瞳にぞくっと背中が震える。

ずっと片想いしてた丘野君にバレンタインチョコを渡したところ想像もしないことを言われてしまった。

ーそのチョコを言い負かせるでも力尽くでもいいから俺に食べさせたらあんたの想い受け取ってあげるーと。

驚きで固まっていると制限時間5分ねーと緊張感のない声で丘野君が頬杖を付いて私を見上げる。

後2分という彼の声で覚悟を決めた私は一歩一歩近付いて腰を90度折り曲げて


「た、食べて下さいお願いします!」


チョコの包みを彼に差し出す。

もちろん彼は数回瞬きをした後ふはっと呆れたような笑い声を洩らした。


「冗談でしょ雨宮さんそんなんじゃ食べてなんかあげないよ」


じゃあどうやって…!と声を張り上げると手段は問わないと益々混乱させるようなことを口にする丘野君。