中に入って、和くんと二人きり。
やっぱり緊張。
「あ、遥奈これ。」
「なんですかこれ?」
渡されたのは二つの鍵。
「屋上の合鍵作っちゃった。」
作っちゃったって....
さすがやることが豪快だな。
「ありがとうございます。」
「だから呼び出したらちゃんと来いよ?」
「あっ、はい。」
呼び出されるのか。
確かに立ち入り禁止だしね。
バレる心配はない。
「さ、帰るぞ。」
自分のカバンに手を掛ける和くん。
もう少し和くんといたい。
でもそんなこと言えない。
「なんかあった?」
「いや、なんもないです。
あ、バレたらまずいんで和くん先帰って大丈夫ですよ。」
なんでこんな可愛げないこと言っちゃったんだろう。
ただ普通に“まだ一緒にいたい”って言えばよかったのに。
「あ、じゃあ帰るわ。
お疲れ様。 」
「お疲れ様です。」
どんどん小さくなっていく和くん。
帰んないで帰んないで戻ってきて。
足が勝手に動く。走り出す。
和くんの制服の端を勢い良く掴んだ。
「なに?」
「まだ.....一緒にいたいです。」
「先帰って大丈夫っていってなかった?」
意地悪な笑顔でこっちを見てくる。
「それは ......。」
何も言い返せない。
ギュッ。
え?
視界が真っ黒。何が起こってるんだろう。
気づいたら和くんの腕の中。
目の前には和くんの制服。
抱きしめられてるんだ。
「ごめんいじめすぎた。」
和くんの腕はあったかくて、大きい。
幸せだなぁ。
ずっとこうしてたい。
「おし、行くか。」
「はい。」
終わっちゃった。
ちょっと悲しいな。
今度はいつ、こうできるかな。
「そんな悲しい顔すんなよ。」
「し、してないですよ!」
「ま、続きは明日な?」
明日も会えるんだ。
うれしくてうれしくてたまんない。
いよいよ明日から学校祭。
楽しみだなぁ〜。
