「あ~~生きててよかった~~神様ありがとう~~」
多田くんはケータイを握りしめてそう言った。
「……変なの。私、ちょっとお手洗い行ってくる」
葵ちゃんはため息をついてから、教室を出ていった。
ふと見えた葵ちゃんの顔は少し赤い気がした。
「……多田くん、よかったね!」
「もうにやけが止まらないよ!葵ちゃんのこともっと好きになっちゃったよ~」
「幸せそうだね」
「もちろん!葵ちゃんにふさわしい男になれるように頑張る!」
「応援してるよ」
葵ちゃんは幸せ者だなぁ。
こんなに一途に想ってくれる人がいて。
私にもいつか、私を一途に想ってくれる人が現れるのかな……って、無理か。
私は葵ちゃんみたいに美人じゃないし、可愛げないし。
私も頑張らなきゃ。
星司くんに振り向いてもらえるような女の子に……!
「好きな人のために変わるって簡単そうで難しいよなぁ。チャラチャラした女好きのイメージを葵ちゃんから消そうと努力してるけど、すごく難しい」
「好きな人のために変わる、かぁ」
星司くんのために変わるって、どういうことなんだろう。
星司くんはどういう子が好みなんだろう。


