【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?






「俺、屋上行ってくる」



「あ、うんっ」



教室の前に着くと、拓磨くんはそう言って屋上の方へ去っていった。



気まずかったから、拓磨くんと離れられてよかった。
イヤだとかそんなんじゃなくて……どんな顔で接していいのかわからない。



教室に入り、自分の席に座っていると、多田くんがやってきた。



「美憂ちゃん、おっはよー!……って、あれ?拓磨は?」



「た、拓磨くんは屋上に行ったよ」



「へぇ~……なにかあったの?」



「へ!?」



多田くんの問いかけに驚きを隠せない。



な、なんでわかったの?
多田くんってもしかしてエスパー!?



「あ、いや、美憂ちゃんの顔赤いからなにかあったのかなって思っただけ」



「う、ウソ!?」



自分の頬に手を当てると、まだ少し熱かった。



あぁ、恥ずかしい……。