【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?






「それってどういう……」



「別に。アンタは知らなくていいことだから」



拓磨くんは私の言葉を遮って、無表情で言った。



「う、うん……」



私は知らなくていいことって言われても、気になる。
でも質問攻めなんてできないし、仕方ない。



『2番ホームに列車が参ります。ご注意ください―――』



駅に着き、電車に乗り込む。
いつも通り満員電車だ。


人に押され、拓磨くんとはぐれそうになる。
が、しかし。



「……っひゃ!」



拓磨くんは私の手を掴んで、自分のそばに私を引き寄せた。
私の胸はじんじんと熱くなる。



「た、拓磨く……っ」



「絶対手、離しちゃダメだからな」



男の子と手を繋ぎ慣れていない私は動揺を隠せない。



どうしよう、私、今絶対真っ赤だ……。
恥ずかしい。