【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?







「へぇ、美憂ってそういうタイプが好みなワケ?」



「確かにカッコいいとは思うけど……でも、好みとは違うっていうか」



ウソ。実際、私は星司くんが好きだし……。
星司くんは本当の王子様みたいに優しくて、カッコよくて……まさに理想の人だ。



なんて絶対に言えないけど。



私が告白して付き合ってることになってるもんね。



「ま、そんな爽やかな王子様なんて、実際いたとしても絶対に裏あるだろうし、拓磨くんと付き合って正解だって」



日向は茶碗に入ったごはんをかきこむ。



裏がある?
星司くんはそんな人じゃないもん!
根っから優しくて王子様みたいな人に決まってる!



私は心の中で日向を怒る。



「じゃ、俺は朝練があるんで」



「いってらっしゃい」



「気を付けてな」



立ち上がった日向に私と拓磨くんは手を振る。



日向、憎まれ口叩かなかったら絶対モテるのになぁ。
私とは違って容姿もいいし、運動神経も抜群だし。
ほんと、もったいない。