その状態のまま20分。
家の最寄り駅に到着した。
「ぷはぁ……やっと満員電車から解放された……」
電車から降りて、私は伸びをする。
「満員電車で20分は疲れるな」
「ほんと、もう少し本数増やしてほしいよ」
田舎だから本数少ないんだけど、利用客としてはすっごく不便!
朝も電車1本逃すだけで命取りなんだもん。
「アンタの家、どっち?」
「こっちだよ!」
改札を出て、私の家の方向へ歩き出した。
そして歩くこと30分。
「私の家、ここだよ」
ようやく私の家についた。
陽はもう落ちかけている。
「じゃ、また明日」
「わざわざ送ってくれてありがとう」
「ついでだって言ってんじゃん。じゃあな」
私は拓磨くんの背中が見えなくなるまで、じっと見ていた。


