「あ、あのっ」
「アンタ、小さいし押しつぶされそうだから」
「……っ」
私に気つかってくれてるの……?
「それに、この電車、痴漢多いって聞くし。大人しくしてなよ」
「う、うん……」
やっぱり、拓磨くんは優しい。
改めてそう実感した。
悪い人がこんなことするワケないもん。
「ありがとう、拓磨くん」
「別に?一応アンタも女だしね」
「い、一応って……」
まぁ、確かに私には女子力のカケラもないけど……。
でもやっぱり正直に言われるとなんか悲しい。
「ウソだって。そんな顔すんな」
落ち込む私を見て嬉しそうに笑う拓磨くん。
ほんっとイジワルだなぁ……。
イジワルなんだけど、なんか憎めないんだ。


