「……変なの」
「変なのって……私は本気でそう思って……っ」
「さんきゅ」
「え?」
「そんな風に言われたの、初めてかも。さんきゅーな」
その言葉を聞いた瞬間、私の胸はじんわり熱くなる。
なんだろう、このキモチ。
あったかくてドキドキして……。
『2番ホームに電車が参ります―――』
そんなアナウンスが流れて、目の前に電車が止まった。
電車に乗ると、満員電車で押しつぶされそうになる。
なんとかドアの近くの隅っこに立った。
『ドアが閉まります。ご注意ください―――』
ドアが閉まり、電車は動き出す。
あぁ、満員電車ツラい……。
しかもこの電車、痴漢多いんだよね……。
すると、拓磨くんが目の前に立って、覆いかぶさるように私の顔の横に手をついた。
な、なに、この状況!?
私の胸はうるさいほどにドキドキし出す。


