「隣にいるのって彼女かな?」
「あれって、可愛いって男子が騒いでた桐野さんじゃ……」
聞き耳を立てていると、いつの間にか拓磨くんはその女子の目の前にいた。
「あのさ、うるさいんだけど」
「あっ、ご、ごめんなさいっ!!」
拓磨くんが睨むと、その女子たちは逃げるように去っていった。
「拓磨くん……」
「ごめんな、美憂」
「え?」
「俺と一緒にいると、変に目立って迷惑だよね」
迷惑……?
「迷惑だなんてそんな!みんな、拓磨くんのことをカン違いしてるだけだよ!」
「え?」
「ウワサで『100人を病院送りにした』とか『ちょっとしたことでキレて人を殴る』とか聞いてて、私も最初は怖かったけど……でも、話してみてみると、そんな人には見えないよ……!」
ウワサはやっぱりウワサで、本当のことばかりではないんだって実感した。
ウワサをそのまま信じちゃいけないんだって思った。


