私はクレープを口の中に押し込んで、立ち上がった。
「借り物は返さないとね!って言っても、私が使ったやつだけど……」
「……ったく」
拓磨くんは諦めたのか、ブレザーのポケットに入れた。
「手、貸して」
「え……?」
私が頭の上にハテナを並べていると、私の手を取って、さっきカイロを入れた方のポケットに拓磨くんの手も一緒に入れた。
「これなら2人ともあったかいでしょ」
「え、え、え!?」
な、なんか彼カノみたい……っていうか実際そうなんだけど!!!
でも仮にも私と拓磨くんはお互いに恋愛感情はないし……?
「帰ろ」
「ちょ、拓磨くんっ」
「はいはい」
拓磨くんは私の言葉を無視して歩き出した。
確かにあったかいけど……でも、恥ずかしいっていう気持ちの方が大きい。
本当に拓磨くんはなにを考えているのかわからない。


