【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?






「今日一日で、アンタのこと知れた気がする」



「わ、私も……!拓磨くんのこと、ちょっと怖いな……なんて思ってたけど、でも本当は優しい人なんだってわかったよ」



「なんだよそれ……確かにアンタ、今日出会ったときは震えてたのにな」



「た、拓磨くんがカイロくれたから……少し、落ち着いたんだよ」



ポケットからカイロを取り出す。
まだあったかくて、手にじんわり温かさが広がる。
完全にではないけど……恐怖心が薄れたのは事実だ。



「あったかい……」



「寒いのによくアイスの入ったクレープなんて食えるな」



「だって美味しいんだもん!」



「へぇ」



「てか、拓磨くん寒いの?じゃあカイロ返すよ!」



拓磨くんの膝の上にカイロを置く。



「いいよ別に」



拓磨くんはカイロを返そうとするけど、私は拓磨くんの手を掴んでそれを止める。



「もともと拓磨くんのだし、ね?」



「……アンタの手、冷たいじゃん」



拓磨くんに言われて、私は慌てて手を引っ込める。
確かに私もちょっと寒い……でも、家までの我慢だし。