駅につき、改札に入ろうとすると拓磨くんが私の腕を引いた。
「え?」
「クレープ、食べないの?」
クレープ屋さんの方向を指さす拓磨くん。
……あ、そうだった。
でも私……。
「私、お財布忘れてきちゃったから、やっぱりいいや」
はぁ、クレープ、咄嗟についたウソだったけど、本当に食べたくなってきた。
なのに、なんでお財布持ってくるの忘れちゃうかな……。
今日はいらないやって部屋の机に置いてきちゃったんだよね。
「……じゃ、奢ってやる」
「え!?そ、そんな、いいよ!」
拓磨くんの言葉に私は驚く。
お、奢るって……恐れ多いというか、そもそも今日初めて話した相手にお金を使わせるなんて、なんか気が引けるっていうか……。
「ほら、行くよ」
「ちょ、た、拓磨くん!」
拓磨くんは強引に私の腕を掴んで、クレープ屋さんの方向へ連れていった。


