「ついでに送ってやるだけだから」
「あ、ありがとうっ」
「別に」
なんだか少し、親近感わく!
でも、電車で拓磨くんを見かけたことないなぁ。
たまたま時間と車両が合わないだけかな?
というか、さっきから周りからの目がすごい。
めちゃくちゃ見られてる。
そりゃそうか、ウワサの矢野拓磨がいるんだもんね。
てか、私、彼女って思われちゃってるかも!?
やばい、そのことすっかり忘れてた。
彼女って思われたらマズい。
「あ!!!わ、私、筆箱を教室に忘れちゃったかも!」
「え?」
「だから、先に帰ってて!」
私はそう言って、学校の方へ引き返そうとする。
でも拓磨くんが私の腕を掴んで阻止した。
「なら、俺もついていく」
「えっ」
そ、それじゃ意味ないじゃん!
ど、どどど、どうしよう……。


