「ほ、ほんとだってばぁ………」



「ま、拓磨に限ってそれはないか」



多田くんが納得したようにうんうんと頷く。



「え?」



「拓磨は結構オクテだから好きな子を目の前にすると、手出せな……んぐっ!」



「おい、祐輝。余計なこと言ったらぶっ殺すよ?」



いつからいたのか、拓磨くんが多田くんの口を手で塞いだ。



「ごめんごめん」



拓磨くんがオクテだとか好きな子だとか、多田くんがなにを言ってるのかよくわからなかった。



「美憂、さっきの祐輝の言葉気にしなくていいから」



「う、うん……?」



拓磨くんがそう言うなら気にしないでおこう。



「ほら、もうすぐ授業始まるし、席に戻るよ、美憂」



「うんっ」



拓磨くんの言葉で私は自分の席へと戻った。