教室に入ると、葵ちゃんが駆け寄ってきて、私を教室の隅へ連れていった。
「ちょっと美憂!なにしてくれちゃってんの!」
葵ちゃんが私の両肩を掴むから驚く。
なんの話だろう……?
「え?」
「多田くんよ!た・だ・く・ん!」
「あぁ!どうだった?楽しかった?」
「楽しかった!?そんなワケないでしょ!」
なんて言いながらも、葵ちゃんは顔を赤く染めている。
「楽しかったようでなによりだよ」
「ちょ、美憂、私の話ちゃんと聞いて……」
「葵ちゃーん!昼休み、楽しかったねっ」
ウワサをすれば、多田くんが葵ちゃんに後ろから抱き付いた。
「だからくっつかないでって言ってるでしょ!」
「葵ちゃんいい匂いするんだもん~!」
「やめて!ヘンタイ!」
2人のやりとりは見てるこっちまで幸せになる。
よかった、仲良くなれたみたいで。


