教室の前につくと、私と拓磨くんは立ち止まった。
なに……この人の量……。
驚いていると、その大勢の中の一人が拓磨くんを指さした。
「あの人じゃない!?ウワサの矢野拓磨……」
「ウソ!思ってたよりカッコいいんだけど!」
そんな声が聞こえて納得する。
きっと、この人たちは、ウワサを聞きつけて拓磨くんを見に来たんだ。
それにしても人多すぎじゃない?
「行くよ」
拓磨くんは不機嫌そうな顔をして、その人の群れに入っていく。
「うぜぇから散れよ」
拓磨くんの一言で、その人の群れは去っていく。
す、すごい……。
拓磨くんの一言でこんなにもたくさんの人が動くなんて……。
「なにしてんの、入らないの?」
「は、入る!」
驚きで立ち尽くしていると、拓磨くんに腕を引かれた。


