拓磨くんの後ろについて、教室に帰る。
私の頭の中は拓磨くんで埋め尽くされていた。
拓磨くんって昔から不良だったのかな……?
拓磨くんはなにを考えているのかな?
拓磨くんはなんで私と付き合ったのかな?
謎ばかりで頭が爆発しそうだ。
「きゃっ!」
うーん、と考えていると、私は下りの階段のところで足を踏み外した。
「っ!」
そして、コケはしなかったけど、前にいた拓磨くんの背中に抱き付いてしまった。
「ご、ごごご、ごめんなさいっ!!!」
わ、私ってばなんて大胆なことを……っ!
私の頬は熱を帯びる。
「……急に抱き付いてくるなんて大胆なヤツ」
「ち、違うよ!か、階段を踏み外しちゃって……」
「気を付けなよ」
「う、うん……ごめんなさい……」
拓磨くん……優しい匂いがした。
なんて言ったら変な人みたいだけど、本当に優しくて安心できる匂いがしたんだ。


