「いただきます」



手を合わせて、お弁当を食べ始める。
私の隣で拓磨くんを購買で買ったパンを頬張る。



「……それ、自分で作ったの」



「え?」



「弁当」



「あ、うん!うちのお母さん、朝勤が多くて……。料理好きだから良いんだけどね!」



お父さんは単身赴任、お母さんはパートの早朝の勤務が多いから、朝ごはんとお弁当は弟と交代でで作るようにしている。



「へぇ、なんか意外」



「えへへ、よく言われる。『料理とか全然出来なさそう』って」



確かに私はドジだけど、料理ぐらいはできるもんね!
弟もそれなりに料理できるし。



「それ、ちょうだい」



拓磨くんが指さしたのは、葵ちゃんと食べようと思っていたリンゴの入ったタッパーだった。



「あ、うん!どうぞ!」



タッパーのフタを取って、拓磨くんに差し出す。