「特にアンタには、な」



「……?」



「彼女を殴る彼氏なんて、サイテーでしょ?」



無表情でそう言った拓磨くんに、少し胸が高鳴った。
彼女、か……。



「あ、ありがとう……」



「は?」



「私ってば、てっきり殴り殺されるって思っちゃって……ごめんなさい」



「……俺だって、勝手に妬いて悪かった」



「え?」



拓磨くんが小声でなにか言ったのが聞こえた。
焼いた?なにを……?
でもとにかく、謝ってくれた、よね?



「なんでもない」



まぁ、いっか。



「さっさと飯食べよう」



「う、うん!」



拓磨くんって思ってたよりも、怖い人じゃないのかもしれない。
もっとすぐに人を殴ったりするのかと思ってた。
少し口が悪いところもあるけど……でも、悪い人じゃない気がしたんだ。