「なんで……あんなことしたの」
「……っ」
「あの男の子はきっと勇気を振り絞って、私にラブレターを書いて渡してくれたのに……!それを、あんな風に返すなんて……っあ、ありえない……!」
私は自分が大きな声で怒鳴ったことにビックリした。
しかも学校一の不良相手に。
言ってから、後悔した。
あぁ、私もう殺されるかもしれない。
私が死んでも……お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、葵ちゃん……そして星司くん。
みんな元気でね……。
さっきの男の子……ごめんね。
私、アナタを尊敬するよ。
好きな人に好きって言えるなんて、私にはできなかったよ。
私を好きになってくれて、ありがとう……ね。
死を覚悟してそう神様に唱えたときだった。
「……へぇ、面白いヤツだなアンタ」
そんな言葉が聞こえて、拓磨くんを見ると、ニヤッと笑っていた。
私の背筋は凍ったようにヒンヤリする。
や、ヤバい。
これは本当に殺されるパターン……。
「なに怯えてんの?言っておくけど俺、女には手出したりしないから」
「え……?」
じゃあ私、まだ生きていられるってこと?
よ、よかったぁ……。


