男の子は少しモジモジしている。
「どうしたの?」
少し心配になって私は顔を覗き込む。
するとまた更に顔を赤くした。
「あ、あの……っ!こ、これ、受け取ってください!」
男の子が私に差し出したのは封筒に入った手紙だった。
「え?」
「ぼ、僕、実は桐野さんのことが……す、好きなんです……!」
「え?」
「なにしてんの」
男の子の声に被せて背後から声が聞こえた。
振り返ると、そこには不機嫌な表情の拓磨くんがいた。
「あのさ、こういうのやめてくれない?」
拓磨くんは私の手から手紙を取ると、男の子に手紙を渡す。
「あの、ぼ、僕は……っ」
「はやく………よ」
男の子の言葉に小さな声でなにか言った。
「え?」
「失せろつってんのか聞こえねぇの?さっさとどっか行けよ」
急に大きな声で怒鳴るから私の体はビクッとする。
男の子もビビった様子でその場から去っていった。


