「……俺、向こうに行くのやめる」



拓磨くんのその言葉に私は耳を疑った。



「へ……?」



「母さんには俺から事情を話す」



「で、でも……っ」



「別に美憂のせいじゃないから。俺が美憂のそばにいたい。ただそれだけだよ」



フッと優しく笑った拓磨くんに私の胸は高鳴る。



これは……夢?
拓磨くんがまだ私のそばにいてくれるなんて……嬉しすぎて泣きそう。



「って、泣かないの。泣き虫」



……って、思ったときにはもう私の目からは涙がこぼれていた。



拓磨くんの優しい手が私の涙を拭う。
そのとき、ふと拓磨くんの腕に私があげたブレスレットがつけてあるのが見えた。


拓磨くん、つけてくれてたんだ……。



「拓磨くん、すきぃ……っ」



「あーはいはい」



頭をポンポン撫でる拓磨くんの手がなんだか少し懐かしい。
大きくて温かい手。
私の大好きな手。