【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?







「あっちでも元気でな」



「はい。じゃあさようなら」



学校を出ると、俺は空を見上げた。



夕日が沈みかけている、綺麗な空。
何度も何度も見た、ずっと変わらない空。



いつもはそんなに気にかけないけど、今日は立ち止まってじっと見つめる。



この空の下で過ごした日々を思い出して、涙がこぼれそうになる。



俺はケータイをポケットから取り出すと、祐輝に電話をかけた。
実は祐輝にまだ引っ越すことは話せていない。
勝手に行ったらアイツはブーブーうるさそうだし、言っておかないと。



『―――もしもし?』



「拓磨だけど」



『あぁ、お前、全然連絡よこさないから、美憂ちゃん心配して……』



「俺、明日大阪に引っ越す」



『へ……?明日!?』



祐輝は驚きのあまり、耳が痛くなりそうなほど大声で言った。