【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?






手紙を封筒に入れると、俺は美容院に行って髪の毛を元の明るい茶髪に戻した。



美憂と付き合う前の姿に戻れば、勇気が出る気がした。



そして……引っ越し前日のみんなが下校し始めるころ。
俺は制服を着崩し、アクセサリーをつけ、手紙を持って学校に向かった。



昇降口からはたくさんの生徒が出てくる。



美憂、まだ帰ってないよな?



一応靴を確認すると、まだ靴があった。



よし。



一回、深呼吸をすると、俺は昇降口で美憂が来るのをドンと待ち構えた。



しばらくすると、美憂がやってきた。
久しぶりに会う美憂に不覚にも少しドキドキする。



ダメだ、ちゃんと……言わなきゃ。



俺は勇気を出して、美憂の前に立った。



「拓磨、くん……?」



きょとんとする美憂の腕を引いて、ひと気の少ない校舎裏に連れていく。