《お母さんは今はこっちに住んでいるけど、もうすぐ仕事の都合で大阪の方に行かなきゃいけない。だから、お母さんと暮らすということは、大阪に引っ越すということになる》
……が、父親の次のメールで、俺に究極の2択が突き付けられた。
それって……もう、この街とも、高校とも、育ての親とも、祐輝とも、そして……美憂ともお別れしなきゃいけないってこと、だよな?
現実はそう上手くいくばかりじゃないんだ、そう実感した。
祐輝にこのことを話すと、
「それは……拓磨自身が決めることだし、俺は拓磨の決めたことなら、いいと思う」
と、少し険しい表情で言った。
美憂にはそのことを言い出せずにいた。
美憂が悲しむ顔を見たくなかった。
1人でずっと考えて、ずっと迷っていた。
もちろん、美憂のことは大好きだし、大事だ。
祐輝だって、ずっとそばにいてくれた大切な親友だ。
でも、母親と一緒にいられなかったこの数十年を埋めたい。
そして、今。
母さんと会ってようやく決心がついたんだ。
母さんに親孝行したい。
母さんをずっと隣で支えたい。
だから……。
「俺、母さんと一緒に暮らすことにするよ」
俺は固く決心したんだ。