美憂はしばらく俺を抱きしめると、また笑顔で俺に手を振った。
「気を付けてね」
「あぁ」
美憂は俺がどれだけドキドキしてるかなんて、知らないんだろうな。
これだから無自覚は……。
一人でトボトボ帰り道を歩き、家が見えてきたところで、家の前に一人の40代後半ぐらいのおじさんがいるのが見えた。
誰だ……?
「あの、うちになにか用ですか」
思い切って声をかけると、おじさんは「あぁ!」と声をあげて、俺の頭のてっぺんからつま先まで見た。
「拓磨……大きくなったなぁ……!」
「え?あの……」
誰、この人。
なんで俺のこと知って……。
「あ、僕のことやっぱり覚えてないよね。僕はね、キミの父親だよ」
「……は!?」
今、この人なんて……っ!?


