「拓磨くんってさ、一人暮らししてるの?」
「あぁ」
実家から学校まで少し距離があるから、一人暮らしをしている。
料理なんて休日の暇なときにしかしないし、平日の晩ごはんはいつもコンビニ弁当とかで済ませている。
だから、美憂の手作りの料理を食べると、すっごく幸せになるんだ。
たまに育ての母親が作りにくることもあるけど、やっぱり美憂の料理が一番好きだ。
「また今度、拓磨くんの家行ってみたいなぁ」
美憂がふふっと笑いながら言った。
「遠いよ」
「いいよ全然!拓磨くんの家に行けるなら!」
「俺の家なんてなんもないよ」
本当になにもない。
必要最低限の家具しかない。
殺風景な部屋だ。
「それでもいいの!行きたい!」
「また機会があればな」
「絶対だよ!ね?」
「はいはい」
まぁ、またテキトーに休日にでも連れていくか。
本当になにも面白いものないけど。