「美憂、顔あげて?」



拓磨くんが私の顔をあげさせる。



「それは俺が悪いんだ。美憂に今までの自分を知られるのが怖くて、ついあんなことを言ってしまったんだ」



「過去なんて、関係ないよ」



「……っ」



「多田くんに話、聞いたよ。拓磨くんの小さい頃の話も、多田くんと拓磨くんが出会ってからの話も……」



「そ、っか」



人には誰しも、思い出したくない過去はあると思う。
人に知られたくない過去だってある。
でも、その過去をバネにして前に進むことだってできる。



「あの、ね。私なんかじゃ無力かもしれないけど……私が、拓磨くんを守ってあげたい」



「え……?」



「拓磨くんを苦しめるものから……拓磨くんを守りたいの」



拓磨くんはきょとんとしてからふきだした。



「な、なんで笑うの!?」



「ははっ、だってあまりにも美憂らしくてさ」



わ、私らしいってそれ……褒めてるの!?