「なにもされてない?」



「うん、大丈夫だよ……」



ホッとしたら思わず涙が出てきた。



「う、ふぇ……っ」



「お、おい、美憂、泣くなって……」



「ご、ごめんね……っ」



拓磨くんが助けにきてくれたことが本当に嬉しくて……。
涙が全然止まらないんだ。



すると、拓磨くんの背後からどんどん近づいてくる星司くんが見えた。



「拓磨くん、あぶな……っ!」



「ったく、しつこいなぁ」



ため息をつくと、拓磨くんはくるっと振り向いて星司くんのお腹に蹴りを入れた。



「うっ……」



「じゃあな、矢野星司くん」



うずくまる星司くんを軽く蹴ると、私の腕を引いて、倉庫を出た。