俺は急いで封筒を開けて、中身を見る。



***



―――拓磨くんへ。



いきなりごめんね。
拓磨くんに言わなきゃいけないことがあって、手紙を書きました。



最初、拓磨くんにラブレターを拾われちゃって、付き合うことになったよね。
でも実はあのラブレターは、矢野くんは矢野くんでも、星司くんに渡そうと思っていたもので。
正直、拓磨くんのことはあの日まで名前しか知らなくて……。



矢野拓磨って人は、気性が荒くて、ケンカで100人を病院送りにしたとかそういうウワサを聞いていたから、怖くて断れずに付き合っちゃったんです。


本当にごめんなさい。



でも、今は怖いとかそんな風には全く思わないよ。


だって拓磨くんは優しいもん。
私が何回拓磨くんの優しさに助けられてきたか、知ってる?



拓磨くんに優しくされるたびに助けられて、でも、その分ウソをついている自分に罪悪感がうまれて……。



こんなに優しい人に本当のことを言わずに付き合ってる自分がイヤになって……。



いつかは本当のことを言って、拓磨くんを私から解放してあげなくちゃって思いながら、ずっと拓磨くんといたいって思う自分もいて。



矛盾しすぎだよね。
わかってても、でも、どうしていいのかわからなくて。



本当に今までウソをついててごめんなさい。