「なんでお前が美憂のケータイ……っ」
『まぁまぁ、そんなことは置いといて。今すぐ駅近くにある第一倉庫に来てくれる?』
「は……?」
『来ないと、美憂ちゃんのこと……めちゃくちゃにしちゃうからね?』
『拓磨くん……っ来ちゃダメ……!!!』
ブチッ―――
返事する間もなく、電話を切られてしまった。
最後、確かに美憂の声が聞こえた。
……美憂が危ない。
俺は迷う間もなく、起き上がって屋上を飛び出した。
「はぁ……っはぁ……っ」
下駄箱に向かう途中の廊下で、俺はあるものを見つけた。
「……これ」
ピンク色の封筒だった。
美憂が矢野星司に渡そうとしていたものと一緒だ。
もしかして……。
裏面を見ると、そこには“矢野拓磨くんへ”と書いてあった。