「……拓磨?」
祐輝の声でハッと我にかえる。
「あぁ、ごめん」
「そろそろ戻ろうぜ」
「うん」
お盆を持って立ち上がり、返却口にお盆と食器を返すと、俺と祐輝は屋上に入った。
「美憂ちゃん、拓磨の隣に座るなんてさすがだねぇ」
祐輝は面白そうに笑う。
「なに、祐輝アイツと知り合い?」
「知り合いっていうか、美憂ちゃんのこと知らないヤツなんていないんじゃない?可愛いって有名だし」
「ふぅーん、有名ねぇ」
アイツ、やっぱりモテるんだな。
前に屋上にきた男子生徒たちが言ってたこともわからないこともない気はする。
見た感じ、のんきというかちょっとバカそうだし。
狙ってああいうことしてる感じもなかった。
「もしかして拓磨、気になっちゃう感じ?」
「はぁ!?ちげぇよ!ただ、のんきなヤツだなぁって思っただけだし」
気になるとかそんなのあるワケない。