「美憂……」



「どうしてだろうね、あんなに星司くん星司くんって言ってたのに」



自分でもわからない。
星司くんのことを大好きだった自分が、まさか正反対の拓磨くんを好きになるなんて思ってもいなかった。



でも、私は星司くん以上に拓磨くんに助けられてきた。
拓磨くんの笑顔も、照れくさそうな顔も、悲しそうな顔も、嬉しそうな顔も、全部全部知ってしまったから……。
だから、もう拓磨くんから目が離せないんだ。



「私、とっくに気が付いてたよ。美憂が矢野拓磨を好きだって」



「……え!?」



「正直、ずっと思ってたけど、美憂の星司くんへの想いって憧れじゃないのかなーって。星司くんの前よりも、矢野拓磨の前の方が美憂は自然でいられてる気がしてた」



確かにそうだ。
私は星司くんを目の前にするといつも緊張して……。
女の子らしく振舞わなきゃっていう気持ちがあった。



でも、拓磨くんの前では自然でいられた。



一緒にいると楽しくて、笑顔でいられた。
これが本物の恋ってやつ?