【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?






なんで私こんなにドキドキしてるんだろう……。
星司くんにドキドキしてた感覚と似ている。
いや、もしかしたらそれ以上にドキドキしてる……。



いやいや、でも私は拓磨くんのことは好きじゃない、し。
気のせいだよ、気のせい。



「あ、そういえば、今日の放課後なんだけどね!」



私は一つあることを思い出した。



「うん」



「駅前に最近できたカフェに行きたいなぁって。そこのアップルパイがすっごく美味しいらしくて、拓磨くんと行ってみたいなぁって思ってたの!」



前に買った雑誌のオススメカフェ特集に載ってて、そのアップルパイがすごく美味しそうだったんだ。
そのときに、拓磨くんと行きたいなって思ったんだ。



「そっか、じゃあそこに行こっか」



「うんっ」



あー、楽しみだなぁ。
寄り道なんて久しぶりな気がする。
最近、休日も葵ちゃんと遊んだりしてなかったし。



「美憂、にやけすぎ」



「だって楽しみなんだもんっ」



アップルパイ……想像しただけでお腹が空く。
はやく食べたいなぁ。