「うん、思い切って今日の放課後聞いてみる!」
「そうね、それが一番よ」
拓磨くんから借りたジャージをたたんで、カバンの中に入れた。
「ていうか美憂、ほんとアンタって幸せ者だよね~」
「え?」
「美憂を保健室に送ってテニスコートに戻る途中、矢野拓磨が息を切らして私のところにきてさ、『美憂どうかしたのか』って」
「拓磨くん……」
拓磨くん、そこまで私の心配して……。
「そんなに美憂のこと思ってくれる人、なかなかいないんじゃない?」
「葵ちゃんにだって、多田くんがいるじゃん?そういえば、最近多田くんとどうなの?」
2人の近況を全く最近聞いてなかった。
拓磨くんとか自分のことでいっぱいいっぱいで……。
「ど、どうって別に……なにもないけど」
「ウソー!メールとかしてるんじゃないの?」
「メールはたまにする……けど、でも、お兄ちゃんがずっとケータイ触ってると男ができたのか!?ってうるさいから、あんまり頻繁にはしない」
「そ、そっかぁ……」
葵ちゃんのお兄さんの葵ちゃん愛はすごいもんなぁ……。
あんなに妹を大切にするお兄ちゃんも珍しい。


