【完】矢野くん、ラブレターを受け取ってくれますか?







「放課後、なに食べに行くかちゃんと考えておきなよ」



「あ……そうだった」



「じゃ、俺は戻るから」



「あ、ありがとう……」



ひょいと手を挙げると、逃げるように去っていった。



「…………」



自分の胸に手を当てる。



胸が……すっごくキュウってなって、苦しい。
なんだろう、この気持ち。
鼓動もすごく速い……。



頭には拓磨くんが浮かぶ。



拓磨くんは……私のこと、どう思ってるの?
たまに見せる悲しそうで苦しそうな表情には、拓磨くんのどんな気持ちが込められてるの?



「わかんないよ……」



私って、拓磨くんのことを全然わかってないんだ。
いやでも、好きでもなんでもないんだもん、知る必要は……。



知る必要は……ない。



けど、やっぱり拓磨くんのことを知りたい。
過去のことも気にしないって思ってたけど、やっぱり気になる。