コートの外では男子がソフトボールをしていて、拓磨くんを探す。
「え……」
拓磨くんを見つけた私は声をもらした。
ウソ、拓磨くん……。
「あれ、矢野拓磨、ジャージ2枚持ってるって言ってなかった?」
「そのはずだったんだけど……」
拓磨くんは半袖でソフトボールをしている。
半袖なのは拓磨くんぐらいだ。
「もしかして……」
「矢野拓磨、ウソついたんじゃない?美憂が遠慮するから」
そうかもしれない。
こんなに寒いのに私にウソついてまで貸してくれたの……?
「どんだけ美憂のこと好きなの、アイツ」
「ちっ、違うよっ」
ヤダ……拓磨くん、なんでそんなに優しいの?
そんなに優しくされたら私……。
「美憂?」


